なに?これ! その2
これを見た時は本当に、なに?これ!でした。インパクトは、ウガンダの酒壺以上。木鉢であることは一目でわかりますが、何といっても脚の数の多さ。思わず数えてしまいました。19!何度数えても19本です。図録の解説には機能的な美しさ、とありますが、19もいるの?なぜ19?どう考えても機能を度外視した何かがある、と思わざるをえません。例によって、どこの、誰が、何のために、を確認します。場所は南太平洋のサモア島、島民がカヴァの木の根を潰して麻酔性の飲み物を作るときに使う木鉢、とのこと。ただし、儀礼的な場面や客をもてなす時に使うとのこと。日常の雑器とは違うようです。という事は、やはり機能より装飾性か呪術的意味を持たせた形、とみていいのではないでしょうか。機能的で最小の脚の数は3です。誰もが知っている鼎ですね。以前、九州の山間の町、五ヶ瀬町へ調査に行ったとき3本脚のこね鉢を作っているビデオ映像を見ました。4とか5ならまだしも19本はどうみても異様です。なぜか?考え出したら、夜も眠れない!そこで、作る場面を考えてみました。厚みのある盤の片面に手斧で窪みを作る、これが器です。裏側に脚を刳り出すために、円周を19分割します。中心から放射状に19本の線を引くと、1つの扇形の角度が約19度。ん?ここにも19が出てきた!19×19=361、まあ1度くらいは手作りなら誤差のうち。という事は、かれらは360の平方根に何かのこだわりがあったのかも!18本ならきれいに20度の分割になったのに、あえてそうしなかったのだから。星の動きや島影から航海術を編み出したという南太平洋の人たちは算術にも長けていたのだろう。サモア人に脱帽!
とにかく今夜はここまでにしよう。これで何とか眠れる…かな。