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なに?これ!…後日談

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 なに?これ!…諸説あります。  19本の脚を持つ木鉢について友人と話していたら、彼は19という数はブログにあるような数学的なものではなく、サモアの人たちにとって特別な意味を持つ数として伝えられている数ではないか、と。例えば先祖が最初に島にたどり着いた時の人数とか、或いは島にある集落数とか…神様の数…。なるほど、そう言われるとそんな気もしないではない。  この友人は30代始めのころ8ヶ月ほど南太平洋の島々を放浪したことがある。主にタヒチだったようだがアメリカ領サモアへも行き、島民が車座になってヤシの実の器で何かを飲んでいた、と。まさにカヴァの儀式だ!何だか友人の説がもっともらしく思えて来た。友人いわく、確かめたかったらサモアへ行って来たら。島にはたいてい物知りの長老がいるものだよ、と。地図を広げて見たけど…ちょっと遠過ぎ。

なに?これ! その2

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これを見た時は本当に、なに?これ!でした。インパクトは、ウガンダの酒壺以上。木鉢であることは一目でわかりますが、何といっても脚の数の多さ。思わず数えてしまいました。19!何度数えても19本です。図録の解説には機能的な美しさ、とありますが、19もいるの?なぜ19?どう考えても機能を度外視した何かがある、と思わざるをえません。例によって、どこの、誰が、何のために、を確認します。場所は南太平洋のサモア島、島民がカヴァの木の根を潰して麻酔性の飲み物を作るときに使う木鉢、とのこと。ただし、儀礼的な場面や客をもてなす時に使うとのこと。日常の雑器とは違うようです。という事は、やはり機能より装飾性か呪術的意味を持たせた形、とみていいのではないでしょうか。機能的で最小の脚の数は3です。誰もが知っている鼎ですね。以前、九州の山間の町、五ヶ瀬町へ調査に行ったとき3本脚のこね鉢を作っているビデオ映像を見ました。4とか5ならまだしも19本はどうみても異様です。なぜか?考え出したら、夜も眠れない!そこで、作る場面を考えてみました。厚みのある盤の片面に手斧で窪みを作る、これが器です。裏側に脚を刳り出すために、円周を19分割します。中心から放射状に19本の線を引くと、1つの扇形の角度が約19度。ん?ここにも19が出てきた!19×19=361、まあ1度くらいは手作りなら誤差のうち。という事は、かれらは360の平方根に何かのこだわりがあったのかも!18本ならきれいに20度の分割になったのに、あえてそうしなかったのだから。星の動きや島影から航海術を編み出したという南太平洋の人たちは算術にも長けていたのだろう。サモア人に脱帽!  とにかく今夜はここまでにしよう。これで何とか眠れる…かな。

なに?これ!

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 大阪の民族学博物館で開かれていた「民具のミカタ博覧会」で出会った逸品! 何だと思いますか、これ!どこで、誰が、何のために使ったモノか。これが実に楽しいのです。 どこで=アフリカのウガンダ。誰が=村の男たち、何のために=お酒を飲むために。そう、これは酒器なのです。  中央の大きな口の周りに9個の小さな口が開いています。どうやってお酒を飲むのでしょう。考えてみて下さい。わかった人はすばらしいです。正解は、車座に座った男たちが、それぞれ長いストローを穴に差し込んで、中の酒を吸って飲む、です。 その様子を想像してみて下さい。楽しくなります。壺に差し込まれた長いストローの先を覗いてみたら、小さな編み籠のフィルターが着いていました。消防のホースの先に着いている竹の籠、あのイメージです。その超ミニチュア版。つまりこの壺で醸造した酒を、そのまま飲むということなのです。ふやけた穀粒をフィルターで濾して酒を飲む。では、目詰まりしたら?色々考えてみましたが、吸わないで吹くのが一番かな。飲みながらどんな話をするのかな?アルコール度はどのくらいかな?考えているとどんどん想像が膨らみます。共同体の構成員の連帯感を醸成するという共同飲酒、それが生み出した器の造形。ウガンダに脱帽です。誰か趣味で焼物やっている人、この壺の複製作ってくれないかな。とりあえず周りの穴は5つくらいでいいので。